〜リズヴァーン〜
十六夜記 捏造エンド・メッセージ




(しるべ)無き、遠い道を来た。

孤独の闇に包まれたその道の果てに、お前はいた。

お前のそばに在り、お前の声を聞き、言葉を交わし、剣を教えた。
生命を託し、信じ合い、共に戦う仲間がいた。

二年に足らぬこの日々は、戦の中にあってさえ、
あまりにもあたたかく、眩しかった。

この後、どれほど深い闇に落ちようと、
我が生命の尽きるまで、
滅することなく輝き続ける時間だ。

私は満たされていた。

だから私は恐れた。
お前への想いが、断ちがたいほどに大きくなっていくことを。
お前を欲している自分自身の心を。


神子であり、人であり、異なる時空(とき)より来たお前。
八葉であり、鬼であり、時空(とき)の理から外れた私。
運命(さだめ)は変えられぬ。
この想いを自分に許すことはできない。
私は闇に帰らねばならぬ身なのだから。



だが今は、お前のぬくもりに導かれ、
私はお前と共に時を重ね、共に歩む。

振り返れば、あの満たされた日々をこそ、至福・・・というのだろう。
だが、それならば今のこの幸せは、何と名付ければよいのだろうか。

お前が私に向ける眼差しの前で、私は幼子のように戸惑う。
お前に憧れ、再びお前にまみえることを希った、あの頃に戻ったかのように。


お前は笑うだろうか、神子。

昔の夢にうなされ、暗闇の中、目覚める私を。
灼けつく痛みの中で、時空の狭間を彷徨い、
お前を求めて泣いていた・・・夢。
繰り返し私を苛む悪夢。
そんな時は、闇の中でじっと息を殺し、朝を待つだけだった。


だが今は・・・・・・私の腕の中で穏やかに眠るお前がいる。
月明かりの中、少し微笑んだようなお前の寝顔。
腕の中のお前を見つめ、私は静かな喜びに満たされる。

それでも私は、お前のぬくもりを確かめずにはいられない。


・・・・・お前の鼓動が聞こえる・・・・・
お前という光の生命の証。


凍てついた孤独の歳月が、優しいぬくもりの中に溶けてゆく。

宿命を越え、ともに生きて行こう。
お前こそが、私の運命だ。

愛しい私の・・・・・神子。
私の全てを賭けて、
お前を愛している・・・・・。





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リズヴァーン生誕祝いです!
どうしても何かアップしたくて、昔書いたテキストから引っ張り出してきました(汗)。
お祝いにしては暗いですけれど、これは「果て遠き道」の原型ともいえるものなので。
ちょこちょこと、かぶったような表現があるのはそのためです。

短い文章ですので、あとがきも短めに・・・、これにて!

2007.1.10筆