晴れた日は・・・



「ふんふんふ〜ん♪」
洗濯物を干していると、つい景時さんの真似をしてみたくなる。

晴れた日は、洗濯物がよく乾く。
青くて高い空を見上げて、望美はうーーーーん、と伸びをした。

さて、今日はこれから何をしようかな・・・。


あれこれ思いめぐらせているところに
「ただいま〜」
景時が帰ってきた。
「ずいぶん早いですね、景時さん。さっきお勤めに出たばかりじゃ・・・」

あれ?景時さんの顔・・・・青ざめてる・・・・
「景時さんっ!気分でも悪いんですか?大丈夫ですか?!」

すると景時は、ガバッとひざまずくなり、望美にすがりついた。
「え・・・?え?」
「望美ちゃん・・・お願いだ・・・。オレと一緒に・・・・・逃げてくれ」
「えっ?!」

返事も待たずに景時は望美を抱え上げ、
「はあっ!!」
磨墨を全速で走らせた。


部下の武士たちが慌てて止めようとする。
「景時様!」
「お待ち下さい!」
「絶対に!」
「恐くなんか!」
「ありませんから!」
「お戻り下さい!

「はぁぁぁぁ?」
望美はわけがわからない。
けれど・・・・だてに景時と暮らしているわけでもなく・・・・
うすうす想像はつくような・・・・。


「うん、ここまで来ればいいかな」
木の生い茂る、小高い丘の上まで来ると、景時は馬を休めた。

「景時さん・・・・」
望美の口調に、一瞬景時はビクンとしたが、
「ん?何?」
笑顔で聞き返す。

「もしかして、お仕事の途中だったんじゃ」
「え〜っ?!」
「両手を上げて驚いてますね。それって図星・・・」
「い、いやいやいや、その、仕事は、一段落しててさ、ほら、今日は天気もいいから
望美ちゃんと遠出・・・なんて、いいかな〜、なんて」

「『恐くなんかありませんから』って、何のことですか?」
「あ、あれ〜っ、そんなこと、誰か言ってたかなあ?」

バキャッ!!!!
望美の拳が、側の木に叩き込まれた音。

「え、ええとね、六条堀川の井戸で・・・ちょっと不思議なことが起きてる・・・・とか」
「それで」
「理由は何かなあ、なんて、知りたがる人がいて・・・・ははは・・・困っちゃうよね〜」
「なぜ困るんですか」
「きっと、たいしたことじゃないのにね・・・ていうか、自分達で調べてくれればいい・・・・
ん??の、望美ちゃん?ななな、何を・・・・」


「とおりゃあああああっ!!」
「うわあああああああっ!!」


「おおっ!」
「鳥だ!」
「飛行機だ!!」(←うそです)
「いや、景時様だ!!!」
「景時様が降ってきた!!」
「さあ、今度こそ、堀川へ!!」
「望美ちゃ〜〜ん〜〜」




「うん、これで一件落着!!」

晴れた日は、洗濯物がよく乾く。

そして、景時さんが、空を飛ぶ。









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あとがき


初めての景時×望美です。
「3」エンド後設定で。
一緒に逃げて・・・・なんて言われると、ドキッとしますよね。

景時さん、いきなり完全に尻に敷かれ状態(笑)。
てか、望美ちゃん強すぎ。

景時さんて、シリアスな話では、
どんどん痛くて切なくなりそうな方なのですが、
不思議とこのようなギャグにもしっくり(?)するような。
それだけ懐が深〜いキャラ、ということですね♪


なお、この話には続きがあります。
あっけなく望美ちゃんに投げ飛ばされた景時さんですが、
この日の夜、地白虎の本領(?)を発揮します。
少々大人向けですが、景時さん大好き!な水月まり子様のサイトに
展示して頂いておりますので、よろしければ、読んでみて下さいませ。
水月様のサイトにはこちら からどうぞ。

2006年11月21日・加筆