途中に分岐があります。お好きなものを選んで読み進めて下さい。
よく晴れた日曜日。
景時の家の庭では、小さなサンショウウオと鯉が池から顔を出し、
青空にはためく洗濯物をのんびりと見上げている。
彼らの主・景時と、遊びに来た望美、二人の共同作業のたまものだ。
「洗濯物、風に吹かれて気持ちよさそうですね」
お茶を飲みながら望美が言った。
「手伝ってくれてありがとうね、望美ちゃん。
君と一緒で、すごく楽しかったよ〜♪
さ、けーきもどうぞ」
景時はテーブルにケーキの皿を置き、自分も紅茶のカップを手に取る。
「ん? 軒下で何かが揺れてる…。あれは何ですか?」
望美は、ガラス戸の端に見え隠れしている網を指さした。
「ああ、あれはね、干物を作ってるんだよ。
鎌倉は新鮮な魚が手に入るからね♪」
「わあ! 朝ご飯には最高ですよね。
景時さんて何でも上手だから、干物もとってもおいしいんだろうな…」
望美の視線が魚の網に釘付けになったその時だ。
何かが飛びつき、大きく揺れる網から、ばしっと魚をはじき出した。
そしてそれは、「みぎゃ♪」と一声鳴くと素早く魚をくわえて走り出す。
ちょっとメタボ気味な体型をした、大きなどら猫だ。
「待ちなさいっ!!」
「景時さん、どうしましょう!?」
顔のアイコンは「M-SPIRAL」様
からお借りしました。
2012.08.03 仮アップ 2012.08.11 [小説]に移動