きらめきよ…

(景時×望美・京エンド後)



「ふんふんふ〜ん♪」
洗濯物を干していると、つい景時さんの真似をしてみたくなる。

晴れた日は、洗濯物がよく乾く。
青くて高い空を見上げて、望美はうーーーーん、と伸びをした。

さて、今日はこれから・・・・・・
・・・・・つくろいものをしなくちゃ。


今朝望美は、景時の陣羽織にほころびを見つけた。

ほころび具合と、その位置から考えると、それはどう見ても・・・
望美が景時を「とおりゃああ!」した時のもの。


お仕事をサボろうとした景時さんもいけないけど、
投げ飛ばしたのは私なんだし、すぐに直さなくちゃ。
お裁縫は・・・・・・お裁縫、 得意じゃないけど、なんとかなるよね。


悪戦苦闘しながら縫い始めてしばらくすると、
「ただいま〜」
景時が帰ってきた。

縫い物を置いて、迎えに出る。
「ずいぶん早いですね、景時さん。さっきお勤めに出たばかりじゃ・・・」

あれ?前にもこんなことがあったような・・・。
まさか、また逃げ出して?

望美の視線に気づき、景時はあわてて答える。
「ああ、今日はね、違うんだよ。 逃げてきたんじゃないから安心して」
「それならなぜ?」
望美は追求の手を緩めない。が、ふと心配そうな顔になる。
「あの・・・どこか具合が悪いんですか?
投げ飛ばされた時の後遺症が出たとか」
「それがね〜」

景時が楽しそうに話し始めたことは・・・

「ええっ?新しい術?」
「そうなんだ。もう少しで完成しそうなんだよ。
今日は仕事もそれほど多くなかったから、
暇をもらって帰ってきたんだ」

「わあ・・・すごい。で、どんな術なんですか?」
「内緒♪・・・と言いたいところだけど、
術ができたのは君のおかげだから、教えてあげるよ」
「私の?」
「君が星の話をしてくれた時・・・」
景時は少し照れながら頬を掻いた。
「あ・・・」
望美は思い出して、赤くなる。
「星が・・・落ちてきたら痛そう・・・って話でしたっけ?」
「そう、それでね・・・あれ?」

景時は望美の指に何カ所も血が滲んでいることに気がついた。
「どうしたの、望美ちゃん?」
「あ、これ・・・」
望美は慌てて手を後ろに回して指を隠す。
「だめだよ、手当てしなくちゃ。よく見せて」
景時の手をひょいと避けた拍子に、望美の髪がふわりとなびき、
その額にも、ぽつぽつと血の痕が見えた。

「いったい何があったんだい」
真顔になった景時は、あっさりと望美を捕まえ、額の傷を見た。

とたんに不思議そうな顔になる。
「ん?これって、もしかして・・・でも指なら分かるけど、なぜ」
「・・・はい・・・あの・・・実は」
望美は正直に告白した。


「縫い物していて自分のおでこに針を刺すなんて、不思議だなあ」
「不思議だけど本当です。恥ずかしいから、あまり言わないで下さい」
「ほころびくらい、オレが自分で直すから気にしなくていいんだよ。
でも痛かったでしょう、針が刺さるなんて・・・んっ!あっ!
景時の目が、急にきらきらと輝きだした。

「どうしたんですか?」
「望美ちゃんのおかげで新しい術が完成したよ。針でいこう!」
「え?」

「オレの銃に、金の気を練った弾が入ってるのは知ってるよね」
「はい」
「今度の術はね、それを空に向かって打つと、
金気が弾けて、たくさんの星になるものなんだ」
「その星が、落ちてくるんですね」
「そうなんだよ〜♪」
「きれいな感じ・・・花火みたい」
「うん、やり方は花火の応用なんだ。
だから、術自体は意外と簡単なんだよね。
でも、ずっと名前が決まらなくてさ・・・」

「・・・何?」

「せっかくだから、すてきな名前がいいと思って、悩んでいたんだよ。
星晶・・・まではできたんだ〜。
星が水晶みたいにきらきらしてる感じでしょ」

「へえ」

「星晶流、とか星晶瀑とか、星晶雨とか考えたけど、
でも、「針」 が一番いいね♪ これ以上の名前はないよ〜!」

「つまり、名前を考えるため だけに帰ってきたんですか?」
「うん、やっぱり名前にはうんと凝りたいし・・・って・・・ え?
「景時さん・・・」
「は、はひぃっ・・・! の、のの望美ちゃん、早まらないで、ね・・・」
「問答無用!!」


お後がよろしいようで。

☆☆☆よくないよぉ〜〜〜☆☆☆










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シリーズネタ落ちでした。

内容は、景時×望美SS「晴れた日は」の続きです。
また、星をめぐる会話は、リンク先のサイト様に掲載して頂いている
景時×望美SSに出てきたものです。
未読でも意味不明になることはないと思って使いましたが、
違和感等感じられましたなら、すみません。

2007年8月11日 拍手から移動・加筆