地に満ちる星

泰明×あかね 現代ED後



神子……
この光に満ちた夜が
「くりすます」というものなのか。

空は夜闇に閉ざされているのに、
街は数多の光に彩られている。

天上に燦めく星々が
この地に降りてきたかのようだ。

……どうした神子?
そのように私の顔を見上げて。

この光を、この夜を、
私が好ましく思うかと案じているのか?

問題ない。

この世界で迎える「くりすます」が
よき思い出となるようにと
神子は私をここに連れてきてくれたのだろう?

これは私が初めて知る聖らかな夜……
眩い輝きが人々を寿ぐ夜だ。

私はこれを美しいと思う。
私の心が、これを好ましいと感じている。

神子がいなければ、
知ることのできなかった感情だ。

風はとても冷たいのに、
私の胸はあたたかなもので満たされている。

ありがとう、神子。
全てはお前がもたらしてくれたものだ。

ん? 頬が赤い。
寒いか、神子?

そんなに激しく頭を振ると……
ああ……やはり後れ毛が頬にかかってしまった。

私が直してもいいか。

いや、礼は要らない。
神子に触れたいと……なぜか強く思ったからだ。

……神子!?
そのようにうつむかずに
顔を上げてほしい。

真っ赤になった顔が…恥ずかしい?
なぜ恥じらう?
お前ほど愛らしく美しい存在はないというのに?

言い過ぎなどではない。
本当のことだ。
問題ない。

神子、寒くないならば
もう少し歩こう。

こうしてお前と腕を絡め
地に満ちる星を眺めていたい。

そして初めての「くりすます」の時を、
二人で胸に刻もう。

愛しい者と過ごす、
かけがえのないこの時間を――。






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2015.12.25 筆 【日記】にアップ
2016.02.25 【小説】にアップ