初夢、初詣などなど、新年にちなんだテーマのSSSです。
ほとんどセリフのみですので、
シチュエーション、背景などは、ご想像のままに。
あけおめ………とは言っても、
なんか穏やかすぎてかえって落ち着かないぜ。
お前はどうなんだ?
まあ、順応性高いお前のことだ。
心配なんて、するだけ損かもな。
ああ、別に不満があるわけじゃない。
お互いいろいろあったが、
こうして自分たちの世界に帰ってきて正月を迎えてる。
これ以上めでたいことなんてないさ。
あの戦場から、無事に戻ったんだからな。
だが、戻ってみれば、
待ち構えていたのは冬休みの宿題って、
とんだオチだぜ。
あ、悪ぃ、
お前、まだ半分も終わってないんだったな。
まあ気にするな。
俺は手もつけてねえから。
一緒に叱られようぜ。
そんなにふくれるなよ。
がんばって全部終わらせるっていうなら手伝うぜ。
面倒事は好きじゃねえが、お前は別だ。
小さい頃から、お前と一緒にいるのは普通のことだった。
会いたくなったら、すぐに会える。
伝え忘れたことがあっても、
明日になれば、お前に会える。
それが当たり前の毎日だった。
だが、あの日――
お前にクリスマスプレゼントを渡しそびれて、
そのまま三年が……過ぎちまった。
大切なことは、今伝えないとな。
じゃ、言うぜ。
一緒に南の島に行かないか?
夢を………見たんだ。
お前と一緒に、南の島にいる夢だ。
夢の中とはいえ、ものすごく楽しかったぜ。
ってことで、俺はバイトに精を出す。
誘ったのは俺だ。
全額は無理でも、足代くらいは持たないとな。
親の説得は任せるぜ。
ん? ああ……。
参ったな。
夢の細かいとこなんて、どうでもいいだろうが。
お前、普段は鈍いわりに、
すげえタイミングで核心を突いてくるじゃねえか。
そんな一歩も退かないって顔されちゃ、折れるしかないだろ。
夢ん中では、遊びに行ったんじゃなくて、
一緒に暮らしてたんだ。
………お前と俺が。
聞いといて真っ赤になるなよ。
俺だって恥ずかしいぜ。
ってお前、俺の照れた顔見て喜ぶな!!
だったら―――
腕の中で暴れるなよ。
こうしてれば、お互い自分の赤い顔を見られないですむんだ。
………俺の心臓、バクバクいってるだろ。
お前の身体も、すごく熱いぜ。
だめだ、離さない。
心臓バクバクも、
熱い身体も、
生きてる証だ。
望美――
愛してる。