― 2016年 新年企画 ―

初夢、初詣などなど、新年にちなんだテーマのSSSです。
ほとんどセリフのみですので、
シチュエーション、背景などは、ご想像のままに。




初 夢[あかねと藤姫]


「わあ、藤姫、とても可愛いよ!」
「これが神子様の世界の晴れ着…なのですね!
何て色鮮やかで華やかなんでしょう」
「気に入ってくれた?」
「もちろんです!
だって神子様とおそろいなんですもの」
「ふふっ、私たち、姉妹みたいに見えるかも。
「まあ、素敵ですわ!」

「さあ、晴れ着を着て初詣に行こう」


「み……みみ神子様!!
こんなに大勢の人が…………!!!」
「みんな初詣に来た人達だよ」
「それに、空は暗いのに周りはとても明るくて……
神子様の世界は不思議なことがたくさんあって驚くばかりですわ」
「あ……除夜の鐘が……」
「ああ……鐘の音は同じなのですね」
「さあ、お祈りしようか」
「ええ。神子様の幸せを、心から祈りますわ」


「まあ! あれが富士の山……ですか?
絵巻物で見るばかりでしたけれど、
本当の富士山は何と神々しいのでしょう」
「空が明るくなってきたね」
「ああ、初日が昇ります……」


「次は、福袋を買いに行こうよ」
「ふく…ぶくろ……?」
「とてもわくわくするものだから、楽しみにしていてね。
あ、その前に、洋服に着替えようか?
きっと似合うと思うな」


「ああ、とても楽しくて、まるで夢
………のよう………ですわ」
「うん、だから、めいっぱい楽しもうね」
「はい、神子様」


「買い物もいっぱいしたし」
「はねつきやかるたもいたしました」
「楽しいお正月だったね」
「ええ、神子様、私もこんなに楽しい新年は初めてです」

「藤姫、会いに来てくれてありがとう」
「神子様、招いて下さってありがとうございました」

「元気でね」
「神子様もどうぞお元気で」

* * * * * * *

「藤よ、何ぞ佳きことでもあったか」
左大臣はにこにこと笑っている愛娘に目を細めた。

「はい、お父様。
佳き夢を見ました」

「ほう、新年に吉夢とは悦ばしいことじゃ」

「私も、とても嬉しゅうございます」

藤姫は小さい手を胸に当て、
幸せな夢を思い返す。

* * * * * * *

あたかな腕の中で、あかねは微笑みながら目覚めた。
瞳を上げると、やさしい眼差しと出会う。

その眼差しの無言の問いかけに、

「とてもステキな夢を見たの……」

あかねはささやいた。


時空を越えて、不思議な縁は幸福を紡ぐ。




2016年お正月企画

初夢[将臣×望美]  お年玉[泰明×あかね]  初仕事[3オールキャラ]


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2016.01.01 拍手にアップ  02.27 [小説]に再掲