― 2013年 新年企画 ―

ほとんどセリフのみですので、
シチュエーション、背景などは、ご想像のままに。




開店! 陰陽師カフェ


「ばいとの安倍泰明だ」
「同じく、ばいとの安倍泰継だ。よろしく頼む」

「うわあ、先代二人に手伝ってもらえるなんて、すごいことだよね。
ちょっと緊張するけど、オレ、がんばっちゃうよ〜♪
で、ええと、こちらにいるのは平泉の陰陽師で……」

「藤原泰衡だ。
九郎と一緒にここを経営している。
だから俺は、ばいとではなく、おーなーだ。
覚えていてもらおうか」

「覚えた。経営には苦労が付きものだ」
「苦労ではなく九郎だ。似たようなものだが」

「忘れない。泰衡はおなごなのだな」
「違う……おなごではなく、おーなーだ」
泰衡が眉間に皺を寄せた時、

「わんわん!!」
「泰衡様、開店の時間です。準備はよろしいでしょうか」
金と銀がやってきた。

「泰衡、
『ささみじゃーきーがほしい、どうすればくれるのか』
と、この戌が聞いている」
「ほう、言葉なきものの声を聞くとはな。
さすが八葉…と言っておこう」

「それでは先代への答えになっていない。
さらに、準備はいいかと尋ねている者にもお前は答えていない。
聞かれたことに答えないのは
先代と次代の地の玄武に特有のものと思っていたが」

「泰継の言っていることは、よく分からない」
泰明は小さく首を傾げ、
泰衡の皺が、さらに深くなった。

「まあまあまあまあ、ここはさあ、みんな笑顔でいこうよ。
お客さんには、気持ちよく過ごしてほしいでしょ?」

「当然だ。隣の怪しげなバーなどに後れを取ってはならん!」
「ああ、九郎、来てたんだね」
「ばっくやーどで素振りをしていた。
鍛錬を欠かすことはできないからな」

「では、お客様に入って頂きます」
「じゃ、オレは張り切っておいしいこーひーと紅茶を淹れるよ〜」

「安倍の陰陽師殿は、占いお祓い席で待機してもらおう。
客が相談に来たなら、愛想よく応対が基本だ」

「問題ない」
「問題ない」

「フ…まあ、初日は俺が助言しよう。
これで確かに問題はない」

「ぅぅわん!!」




2013年お正月企画

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2013.01.01 筆 03.23 [小説]に移動