「おめでたい初夢と言ったら一富士二鷹三なすびだよ、アクラム」

「ほう、それでは答えてもらおうか、龍神の神子。
お前の言うめでたい夢とやらは、なぜその三つで、その順番なのだ」
「そっ…それは……」

「あれだけ自信ありげに言い放っておいて答えられぬか」
「ぐっ……」
「めでたいのはお前のアタマのようだな、龍神の神子」

「おいアクラム、汚ねぇぞ！　人のアタマの弱みにつけこむな」
「では八葉が神子の代わりに答えてみせよ。
キャラ紹介の順でいく。まずは天の青龍からだ」

「神子殿が一富士二鷹三茄子と仰ったなら、それこそが真実」
「俺達の世界じゃ、昔からそう言われてんだよ。
言い伝えにいちいち理由つける必要ねえだろ」

「夢だろうがアタマだろうが、めでたいってのはいいことだぜ。
だからあかね、鬼の言うことなんか気にすんな」
「江戸時代からの風習だって聞いたことがあるけど、
起源や理由は諸説あるから、どれか一つには決まらないと思うんだ」

「神子殿を試すような真似は卑怯です。
すぐに答えを求めるより、まずは自分で考えてみなければ」
「夢は一夜の儚いものだ。いつまでも覚えていることもあるまい。
ならば、何が夢に現れようと私は気にしないよ。
美しい花が忍び入ってくれるなら拒みはしないけれどね」

「あ……あの………すみません。私には分かりかねます。
申し訳ありません、神子の足手まといになってしまって……」
「神子の世界の瑞祥がこの京にも当てはまるかどうかは
何人もあずかり知らぬ。それを問うことに意味があるとも思えぬ。
だが順番の理は明白。富士鷹茄子は大きさの順だ」

「では採点してやろう。配点は龍神の神子が二十点。八葉が各十点だ。
地の朱雀と地の玄武には、特別に部分点として五点ずつ与えよう。
だがそれ以外の八葉と神子は皆零点だ。
つまり全員合計で、百点満点中十点。
お前達の成績は全員まとめて不可だ！！！」

「…………………」

「赤点で真っ青になるとは、とことん間違っているな。
とにかくこの勝負は、私の勝ちだ。
潔く負けを認めるがいい、龍神の神子と八葉。
ふはははははははは…………

はははははは…………


ははは………


はっ！！！！！

今のは夢………か。

器の小っっっさい夢を見たような気がする。
…………夢でよかった。

いや、気にすることなどない。
夢はあくまでも夢だ。

私は堂々と悪辣に戦い、今年こそ、京を征服する。
見ているがいい、龍神の神子！！