神子への年賀状がテーマです。
ほとんどセリフのみですので、
シチュエーション、背景などは、ご想像のままに。
――あけましておめでとうございます。
今年が先輩にとって幸多き一年となりますよう、
心からお祈り申し上げます 有川 譲
「これでよし…と。
先輩にとってが、一番大事なんだよな。
いつも筆ペンで太めに書いてるけど、気づいてくれてるかな。
…………いや……無理な気がする」
「あ、譲くん。
年賀状、書き終わったんだね。
オレもちょうど、でき上がったところなんだ。
今日までに出せば、ちゃんと元日に望美ちゃんに届くんだったよね」
「ええ、そうですよ。
さすが景時さん、情報は確実ですね」
「馴染みのない世界だからいろいろ気になって調べただけなんだよ。
でも、譲くんに聞けば早かったのかもしれないね。
将臣くんは、気にすることないって言ってたけど、
自分で調べて正解だったかな」
「兄さんは万事アバウトな人ですから」
「あばうと?」
「ああ、すみません。大ざっぱってことです。
きっと今年も大晦日になってから『賀正+日付』だけの年賀状を書いて、
元日の早朝に先輩の家の郵便受けに直接入れると思いますよ」
「ははっ……兄への評価は手厳しいね〜。
オレも朔には言われっぱなしだし」
「……ところで景時さん、少し気になったんですが、
さっき年賀状を書いた、じゃなくて『でき上がった』って言いましたよね」
「うん、そうだよ。よく気がついたね〜。
実はオレ、望美ちゃんへの年賀状に、
ちょっとしたからくりを施してみたんだよ〜♪」
「からくり……ですか?」
「簡単な陰陽術の応用なんだけどね、
オレの声を入れた小さなおみくじの札を年賀状に貼ったんだ。
それでね、望美ちゃんがそれに触れたら、札がぽんって弾けて、
『あけましておめでとう♪ 今年もいっぱいいいことがあるよ〜♪』
って、オレの声で言うんだ。
……あっ! これは望美ちゃんには内緒だよ」
「………も、もちろんです。
これは……まずいな」
「ん? 譲くん、今何か言った?」
「いいいい…いいえ。俺、何も言ってません」
いけない、思わず本音を口走ってしまった。
でも、心の声なら気づかれないだろう。
景時さんの年賀状、アピール度が高いな。
このままだと先輩の景時さんへの好感度が上がってしまうかもしれない。
「望美ちゃん、びっくりするかな。
喜んでくれるといいよね〜♪」
「そうですね(棒)」
あ、でも……びっくりし過ぎて、好感度が下がる可能性もある。
「ねえ、譲くん……やっぱり何か言ってない?」
「いいえ、黒い文字は景時さんの気のせいです」
やっぱり陰陽師は油断ならないよな。
とにかくライバルは少ないほどいいか。
景時さんの好感度↓に賭けてみよう。
黒さなら地白虎も相当なもんだと思います。若者とは違う黒さが……。
2014年お正月企画
[泰明]
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[1+3朱雀]
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2013.01.01 筆 02.27 [小説]に移動