― 2014年 新年企画 ―




初 詣

泰明×あかね



新たな年の曙光が柔らかな髪を滑り落ち、白い肩をほの明るく染めた。

私の腕の中で、神子はゆっくりと眼を開き、
桜花がほころぶように微笑む。

「泰明さん……あけましておめでとう……」

続けて口にしたのは、ささやかな願い。

「近くの神社に初詣に行きましょう。
いいですか?」

問題ない


新玉の年を迎えた街は、清々しい静寂に満ち、
晴れやかで澄み切った清浄な気が、空を巡り大地を渡る。
この気は、どこか神子に似ている。

だが、不思議なことではない。
ここは神子の世界だ。
京に来たばかりの頃、神子が纏っていたのは、この気だった。

「泰明さん、この着物、どうですか」

神子は何を着ても愛らしい

つややかな頬が少しふくらんだ。
不満なのだ。

その新しい着物は、神子の笑顔によく似合っている

笑みがこぼれ、神子は再び弾むように歩き出す。 繋いだ手が歩調に合わせて揺れる。


小さな社の前で手を拍ち合わせ、静かに祈った。

「泰明さん、今年もよろしくお願いします」

無論だ、神子

「泰明さんは何をお祈りしたんですか」

お前が幸福であること
お前の幸福を守ること
私はそのために生まれてきたのだ

「私は泰明さんの幸せをお祈りしました」

私の幸せを………?
………ありがとう、神子
お前が私を想ってくれる……それだけで私は喜びで満たされる
私はすでに幸せだ
お前がここに……私の隣にいるから………


お前と出会い、心を知った。
どの世界にあっても、それは全てであり唯一のもの。
恒に変わらず、常に新しい想いを紡ぐものだ。

神子、この新たな年も、共に歩いて行こう。
この身のある限り、私はお前と共にいる。




泰明さんのセリフには、あえて「」をつけていません
お正月話の中に一話くらいは、こんなのがあるのもいいかな……と

2014年お正月企画

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2013.01.01 筆  02.27 [小説]に移動