初夢浮橋

2010年のお正月企画です。
「1」と「3」の同じポジションのキャラ同士が交わす
少しおかしな会話SS集。
ほとんどセリフのみですので、
シチュエーション、背景、時代設定などなど、ご想像のままに。



地の青龍

天真&九郎


「天真、このすさまじい音を出している物は何だ?」
「よっ、九郎。
こいつは、バイクって言うんだぜ」
「ばいく?
何に使うものだ?」
「百聞は一見にしかずだ。
見てろよ」
ドルルルルルル!!!
「うわっ!」

「どうだ、分かったか?
簡単に言えば、乗り物ってわけだ」

「驚いたな。お前達の世界では、これが馬の代わりなのか?」
「まあ、そうだな」
「足が前後に二本しかないのによく倒れずに走るものだ」
「驚くのはそこかよ」
「それに、鞭も使わないのに走り出すとはな。
ああ、だが、腹を蹴って合図していたか」

「へえ、案外よく見てるじゃないか」
「案外とは何だ。失礼なやつだな。
走っていようと止まっていようと、
相手の動きは見定めておかねばならん」

「おい、俺は敵じゃないんだぞ」
「敵かどうかは関係ない。
武士としての覚悟の問題だ。
それより、天真、頼みがある」

「な、何だよ?」
「俺もばいくに乗ってみたい」
「まじ…っていうか、本気か」
「馬に比べたら、それほど難しいものでもあるまい」
「馬と一緒にするなよ。
こいつはマシンなんだぞ」
「それを言うなら、馬は生き物だ。
生き物を思い通りに走らせるのは大変なんだ。
それに引き替え、ばいくはからくりの類だろう。
景時の怪しい発明を見ているから、だいたい見当はつく」

「参ったな。あきらめる様子もないか」
「俺は簡単にあきらめたりせんぞ」
「ちっ、仕方ねえ。
ほらよ、予備のメットだ。かぶれ」
「よびのめっと? この兜のことか」
「いいか? メットかぶったら、ここに座れ」
「こんな後ろに座ったら、手綱に手が届かんぞ」
「素人をいきなり一人で乗せられるはずないだろう?
無免許運転なんかさせられるかよ」
「むめんきょうんてん?」
「とにかく、まずは体験乗車だ。
俺におとなしく掴まってろよ」
ブロロロロロロロロ!!!
「うわああああっ!!」
ギュギュギューン!!!
「うおおおおおっ!!」
ズブァッブァッブァッブァーン!!!

「♪♪♪♪♪〜〜〜〜〜!!」

「お、おい、どうした、九郎」
「天真、ばいくはいい乗り物だな♪」
「もしかしてお前、目が座ってるだろ」

「もっと速く走れ!天真♪♪♪♪♪〜〜〜〜〜
俺は風になる〜〜〜〜〜」




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