神子への贈りものがテーマです。
同じ四神同士の会話で、ほとんどセリフのみですので、
シチュエーション、背景などは、ご想像のままに。
「おや、鷹通、大切そうに抱えているのは何かな?」
「ああ、友雅殿。
神子殿に新年の贈りものをと思い、本を作ったのです」
「鷹通お手製の薄い本…か。(←この表現に深い意味はありません)
表紙は…京の絵図だね。これは興味深い。
私にも見せてはもらえまいか」
「ええ、どうぞ」
「ほう、これは……京の街の案内か。
鷹通らしく、細かい説明が書き込まれているね」
「はい、神子殿はずいぶん京に慣れてきたご様子ですが、
街の小路は迷いやすいので」
「親切なのだね、鷹通は。
文字にまで気を遣っているのが分かるよ。
平仮名を多用して、全て楷書とはね……」
「神子殿が読めなければ意味がありませんから」
「堅物の鷹通も、女性を喜ばせる術を身につけてきたようだね」
「…っ友雅殿! そのような言い方は神子殿に失礼です」
「ふふっ、気に障ったのなら申し訳ない。
私はそれほど親切ではないのでね」
「ところで、友雅殿も神子殿に何か贈ろうと
お考えなのではありませんか」
「ああ、さすがに鷹通は察しがいいね。
では、労作を見せてもらったのだから、
私の贈りものも披露しようか」
「ぜひ」
「私が神子殿に差し上げるのはね…これなのだよ」
「侍従の香を焚きしめた白い扇……ですか」
「白は私たち白虎に縁ある色。
そして、まだ何ものにも染まらぬ無垢の色…でもある。
だが、神子殿に贈るものは、扇だけではない…」
「……扇面には、歌が書かれているのですね。
神子殿には読めない書体で」
「すばらしいよ、鷹通。
そこまで言い当てるとはね」
「先ほど友雅殿は、文字のことで、
ご自分を親切ではない…と仰ったばかりですから」
「私はすぐ前のことなど忘れてしまうのだが、
鷹通の記憶力はすごいのだね」
「しかし、なぜ神子殿に伝わらないように書くのですか」
「ふふっ…神子殿にこれから学んでもらうため…
と言えば分かるかな」
「……確かに、学ぶことは大切です。
しかし………もしかして、友雅殿!」
「おや、何を赤くなっているのだね。
もちろん、私が神子殿に教えるのだよ。
読み方も……歌の本当の意味も……ね」
「なっ何を書いたのですか、友雅殿!?」
「内緒…」
・
・
・
・
・
新年の重要単語: 年の功
2012年お正月企画
[1:青龍]
[1:朱雀]
[1:玄武]
[3:青龍]
[3:朱雀]
[3:白虎]
[3:玄武]
[1・オールキャラ]
[小説トップ]
2012.01.01 筆 02.16 [小説]に移動