― 2012年 新年企画 ―

神子への贈りものがテーマです。
同じ四神同士の会話で、ほとんどセリフのみですので、
シチュエーション、背景などは、ご想像のままに。




3: 朱 雀

「おや、ヒノエ、
人の出入りする扉は そちらにはありませんよ」
「なんだ、弁慶か。
愛らしい花に逢うためには、扉も壁も意味はないさ」

「そういうやり方は、不作法と言われても仕方がありませんね」
「あんたが作法通りに姫君の家の呼び鈴を鳴らすつもりなら、
止めておいた方がいいぜ。
オレが先に花をさらっていくからね…」

「望美さんの部屋に、窓から侵入するつもりですか」
「あんたがありきたりなやり方で満足なら、
ま、それでいいんじゃない」

「ふう…仕方ありません。
では、お互い自分のやり方でいきましょう。
……と言いたい所ですが…
これは好ましい状況ではありませんね」

「ああ、それだけは同感だね。
姫君を誘いに来たら家の前で野郎と鉢合わせ…
しかもそれが弁慶とはサイアクだぜ」

「ふふっ、相手が悪かったと認めるんですね?」
「それって負け惜しみかい?」
「あくまで強気ですね、ヒノエは。
ところで、いつまでここにいても埒があきませんが…?」
「そうだね。
野郎の顔なんて、お互い見たくもないんだし、
あんたが帰れば一件落着ってね」
「僕が帰る?
引き際が肝心ですよ、ヒノエ」

その時、バタン…と玄関のドアが開いた。

「やっぱり! ヒノエ君と弁慶さん!」
「姫君!」
「望美さん…どうして」

「だって声が聞こえたもの。
外は寒いでしょ。中へどうぞ」

「いや、オレはお前を誘いに来たんだ」
「いいえ、僕は君を誘いに来たんです」

「わあ、すごい! 二人とも息がぴったり…」

一瞬、ヒノエと弁慶は眼を合わせ、
暗黙のうちに次善の策を取ることで一致した。


そして数時間の後………
三人は夜更けのテーマパークにいた。

「10、9、8……」
カウントダウンが始まり、人々の声が一つになる。

望美も高く腕を上げ、数を数えていく。

「3、2、1、0!
A HAPPY NEW YEAR!!」

歓声が渦巻き、花火が上がって楽しい音楽が流れ始めた。

「あけましておめでとう! 姫君」
「あけましておめでとうございます、望美さん」

「ヒノエくん、弁慶さん、楽しい年越しをありがとう!」

「どういたしまして。オレと迎える新年は
きっと姫君にとってサイコーのものになるぜ」
「ふふっ、いけない人ですね。
そんなに可愛い笑顔を見せられたら、
帰したくなくなってしまいます」









新年の四字熟語: 温故知新(こんなに変わるとは…朱雀談)




2012年お正月企画

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2012.01.01 筆 02.09 [小説]に移動