現代ED後、クリスマスのデートという設定です。
あかねとの会話ですが、八葉のみが話します。
めりーくりすます…。
神子、今宵の街は何と美しいのでしょう。
木々も建物も、まばゆい星々をまとっているかのようです。
そして、燦めく光の中に立つあなたはそれ以上に……。
……っ! いきなり申し訳ありません。
私に向かって駆け寄ってくる神子を見た時から、
その……眼を離すことができず……。
いえ、そのように赤くならないで下さい。
私も顔が熱くて……。
夜の風がすぐに冷やしてくれるから大丈夫?
ありがとうございます。
そうですね、火照った頬には冷たい風も心地よいです。
あ……もしかして寒いのですか、神子?
よろしければ、私のまふらーを……
……………
こうして巻いておくだけで、少しは暖まると思います。
では、行きましょうか。
この近くにある広場で、
聖歌隊がくりすますの歌を歌うそうなのです。
神子と一緒に聴いたなら、聖なる夜のよき思い出になるのではと。
ええ、その聖歌隊の歌を前にも聴いたことがありましたので。
清らかに澄んだ、素晴らしい歌声でした。
仏も外つ国の神も、信じる心には通い合うものがあるのですね。
神子、あちらです。
もう人が集まっていますね。
でもよかった。風よけの囲いの側に席が空いています。
え? 私が……変わった?
以前より、積極的に……?
自分では気づきませんでした。
でも……きっとそうなのでしょう。
京にいた頃は、私を庇護し助けてくれる人々が大勢いました。
けれどそれは私の身分や立場ゆえのもの。
神子の世界で私は、法親王の永泉ではなく、
ただの「永泉」という人間になれました。
私にまとわりついていた全てが取り去られた今、
私は初めて私自身として、世界に向き合うことができたのです。
ありがとうございます、神子。
あなたはこの世界に私を迎えて下さり、新しい道を示して下さった。
まだ稚拙な歩みかもしれませんが、
私はこの世界で自分の足で歩み、生きていきます。
愛しいあなたの世界で。
今宵、あなたへの感謝と祝福を。
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16.12.25 筆 19.8.11[小説]に収録