クリスマスSSS・友雅

現代ED後、クリスマスのデートという設定です。
あかねとの会話ですが、八葉のみが話します。



メリー・クリスマス、神子殿。
今宵の挨拶は、この言葉で合っているのかな。

ははっ、いい笑顔だね神子殿。
私もうれしいよ。
君と共に聖なる夜を過ごせるのだからね。

君はどこに行きたい?
何をしたい?

光りに彩られた街をそぞろ歩くかい?
静かな店で食事するのもいいね。
それとも、高いビルから降るような星空を眺めようか。
寒さに身を寄せ合いながら、
夜の遊園地を存分に楽しむことだってできる。

おや、眼を丸くしてどうしたんだい?
素敵な提案ばかりなので選べない?

上気した頬で微笑みながら、
君はどうしてそんなに可愛い答えを返すのだろう。
本当に罪作りな神子殿だ。

え? 声が小さくて聞こえないよ。
恥ずかしいなら、私の耳元でささやいてごらん。

――今夜の私がとても情熱的……?
ふふっ、その通りかもしれないね。
だが、私の情熱をかき立てたのは神子殿、他ならぬ君だということを、
忘れているのではないかな。

月の姫君、私は君の願いを叶えたくて仕方がないのだよ。
君が望むのなら、
火鼠の皮衣や蓬莱の玉の枝を手に入れることさえ厭わないだろう。

ああ、分かっているよ。
君はそんなものを望んだりしない。
君が求めるのは、ささやかであたたかな幸せだ。

さあ、おいで。
君の肩を抱いて、寄り添って歩こう。
この聖なる夜に、君のぬくもりを感じさせておくれ。

私の情熱に応えてくれるかい、神子殿?






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16.12.25 筆  19.8.11[小説]に収録